「亜美に会いに来たんじゃないから、今来たのは……」
「わ!」
突然、腕を引かれたと思ったら気づけば五十嵐くんの胸の中。
五十嵐くんの腕も、心臓もあつい。
きっと走ってきたからだ。
五十嵐くんの顔は見えないし、今見ようなんてちょっと私には出来ない。
でも多分私の心臓も、同じくらいあつくなってる。
「中村さんを迎えに来たんだ」
五十嵐くんが喋るたびそれが響いて、私のおでこに直に伝わってくる。
ああもう、五十嵐くんはなんでこういうことさらっというかなあ。
例え、五十嵐くんに好きな人がいても。
私って多分相当な幸せてものだよ。
だって五十嵐くんにこんなことしてもらえてるんだもん。
「なに、それ。迎えにって、有紗ちゃんが勝手にきたんじゃん!亜美を悪者みたいに言わないでよっ」
その言葉に五十嵐くんが私の身体に回していた手を、放した。
はあーー、やっと息できる。
なんで私息止めてたんだろ。苦しかった!
それにしても……っんとに、びっくりしたー!
もうちょっとあのままでいたかった、なんで思いは絶対言えない。
「亜美を悪者にしようなんて思ってない。ただ単に俺は本当に、中村さんを迎えに来ただけなんだよ」
亜美さんの右眉がピクリと動いた。


