何でそれに気づかなかったんだろう。
五十嵐くんに笑ってて欲しい、それが一番なはずなのに。
私は亜美さんに敵わない、そのことがこんなにも胸に刺さるのは、
私がどこかで期待してたからだ。
亜美さんのことが解決すれば、私にも可能性があるかもって心のどこかで思ってたからだ。
ずるい、一番ずるくて汚いのは私じゃん。
亜美さんに突っかかるのはもちろん五十嵐くんとに笑ってて欲しいからっていうのもある。
けどそれ以外に、嫉妬の気持ちがなかったって言ったら嘘になる。
それを、自覚してしまった。
ああ、どうしてこうなっちゃうんだろう。
こんな嫌なやつになりたくないのに。
視線をさげて下唇を噛む。
「それは、違うな、っはあ、亜美」
すると低すぎないけれどいつもより掠れた、あの声が上から降ってくる。
思わず顔を上げる。
「五十嵐くん、?」
「柊?」
亜美さんと声が重なった。
五十嵐くんには珍しく制服が乱れ、息が絶え絶えで苦しそうに酸素を求めている。
首筋には汗が浮かんでるって、もしかして走って着たの?


