「……いちゃん。お兄ちゃんってば!聞いてるの?」
突然耳に入ってきた美羽の声ではっとする。
中村さんよりも、美羽の方が声高いな……って俺は何を比べてんだよ俺は。
「ああ、ごめん。美羽おかえり」
起き上がってぼんやりとした寝ぼけ眼でそう言うと、美羽は怪訝そうな顔をする。
「今日のお兄ちゃんなんか変だよ、どうしたの?あ、違う昨日からか」
妹にまで心配されるって今の俺相当きてんのな。
「特には何もないよ」
今日学校でもクラスの何人かにそう言われた。
俺はいつも通り、取り作ってるつもりだった。
そこそこ器用にこなせてたはずなんだけど。
俺、こんな何も出来ないやつだったか?
自分のことだけで手一杯になることなんか今までなかった。
けど、今日は自分のことで頭痛くなって周りになんて気配れなかった……中村さんにだって。
今日一日、中村さんはどう過ごしたんだろうか。
いつものように楽し気に笑ってたのか?
それとも、もっと別の、俺も見たことないような表情をしてたのか?


