「でも……でも!朝ごはんは?」


美羽ちゃんがはっとしたように私に詰め寄る。

あ、朝ごはんの存在忘れてた。
わざわざ作ってくださったお母様には申し訳ないけど、でもやっぱり!

このまま呑気に朝ごはんなんて食べてられないよ!

「大丈夫、その辺のコンビニで食べてから行くから!」


そんな悲しそうな顔しないで〜!
ごめんね、美羽ちゃん。


「あの、昨日一晩本当に本当にお世話になりました!ありがとう!」


目は合わせられないけど、その分お礼だけは精一杯言うよ。

よし、これでもう言い残すことはないね。

リビングを出て階段を駆け上がる。

白い壁に寄りかかって一息つく。


さっき一瞬見えたけど五十嵐くんの髪、寝癖が付いてた。

さすがに朝からあの完璧スタイルが出来上がるわけじゃないんだね

また、発見。
自然と口元が緩んでくる。

なんか妙にこそばゆい。


今は、きっと五十嵐くんと会話なんてまともにできない。

だって私あれ以上あそこににいると、私がおかしくなりそうだもん。

目が合うとどうにかなっちゃいそうで、今は目を合わせないのが精一杯だもん。

私、どうしたんだろう?

はあ、


「あっつ……」

今日って気温、こんなに高かったけ?