ほんとのキミを、おしえてよ。




「え、っと……」


私の口から出た言葉はたったそれだけ。


「俺のこと、菩薩か何かだと思ってる?」



一瞬五十嵐くんの伏し目がちな目が黒く光る。

綺麗な瞳が私を横目で覗いてる。
無意識に視線をそらす。

こんな五十嵐くん、知らない。


「あ、の」


細々と言葉を発して、決心して五十嵐くんの瞳を見つめ返す。


「菩薩っていうか……如来様、みたいだと思って、ます!」


菩薩よりも如来の方が偉いんだってこないだ日本史の先生が言ってた。

だから五十嵐くんがなるなら絶対如来様だと思うんだ。

鳴り響く鼓動は消えなくて、時計の秒針と混ざり合ってわからなくなる。


「そういう意味じゃ……」


五十嵐くんの言葉は少し掠れて聞き取りにくい。

何かを言いかけてそれから、はーと深くため息をつく。

期待か緊張か、わからない感情が入り混じる。


「ごめん、気にしないで」


迷いを振り切るように、いつもみたく爽やかににこりと微笑む五十嵐くん。