「中村さん、まずシグマとルートって言葉は知ってる?」
トントン、と五十嵐くんの綺麗な指が教科書の意味不明な文字を指している。
「あ、はい……そうだ!これ(Σ)シグマって読むんだ!」
私その言葉なら知ってる!忘れてただけだ!と嬉しくなって勢いよく顔をあげる。
「あ、」
その勢いのせいなのか、プツリとビニール製の髪ゴムが切れて1つにくくっていた髪がハラハラとほどけた。
ああ!この髪ゴムがもろいのは知ってたけど!
せっかく美羽ちゃんにもらったのに、私の髪が剛毛なせいで切れたじゃないか。
変わりのも髪ゴムもないしな……
はー、仕方がない。ツイてないなー。
あんまり好きじゃないけど首にタオルかけて自然乾燥するのでも待つか。
「あの中村さん髪、乾かした?」
視線の先には私の濡れた髪があって、表情は厳しい。
もしかしてあの寛大な五十嵐如来様がお怒りですか!?


