ほんとのキミを、おしえてよ。



「中村さん、大丈夫?」


はっ、またか!
いい加減本物のバカだと思われるよ私。

実際バカだから否定しようもないし!


「あの、ほんとーに!申し訳ないんですけど……この記号について教えていただけますでしょうか?」


さっきまで私のせいで気まずい空気にさせてしまったのに、またまた迷惑をかけてしまううなんて本当情けない。

この際恥を捨てた方がいいかな。


「あー、数学か。むずいよな」


私の横にやってきて教科書を覗き込む。


皆さんみてください!
私が散々迷惑かけても優しく接してくださるこの寛大さ!

ああなんて素敵な如来様なんだ。
私も少しは見習わないとだよ。


「ああ、これか……」


教科書を見つめ、公式らしきものをつぶやいている真剣な表情。


こうしてると否が応でもこないだの、五十嵐くんと二人きりだったときのことを思い出してしまう。

一旦意識し始めるとそのループから抜け出せなくなる。


それにさっきのこともあったし、なんかそわそわする……って!


こないだと状況は全く違うんだからドキドキしてどうするの!

今日は飲み物こぼす心配もないんだから、むやみにドキドキするな私の心臓。

私はこれから真面目に勉強するの!


煩悩よ、去れ!!