「ごめん、バレるとまずいかなと思って」
口をふさがれたまま、耳元で聞こえる五十嵐くんの声。
五十嵐くんの手の力加減が上手いのか、不思議と苦しくはない。
ありがたいし、五十嵐くんのおかげで助かったのは事実。
事実、なんだけどさ……ち、近くない!?
振り返れば、絶対10センチも距離ないし、この体制はいったいなに?!
五十嵐くんの左手は私の口、右手は私の腰周りを支えている。
つまり!先ほどと似ていて、後ろから抱きしめられているような体制というわけなのです!
なんか今日、抱きしめられること多くないでしょうか?
暑い、暑い!熱くて体の水分蒸発する!
はあ。
こんなこと、一日に何度もあったら私……心臓が、持たない、し。
顔が、赤くなるのを感じながらも耳を澄ますと聞こえてくる晴仁くんの声。
そうだった!あちらも晴仁くんが花那ちゃんを抱きしめてたんだった!


