「あ、私向こう行こうか?」


と、私が焦る横で真紀が気を効かせてくれる。


「真紀ちゃ、んごめん……ね」


「いや、それは全然いいんだけど。
元気、出してね?」


優しい笑顔を浮かべて、花那ちゃんの頭を撫でる。


なんだかんだいって真紀って優しいよね。っていうか私以外の人には優しくない?


「っ、ありがとう」


大きな瞳をうるませて、真紀に向かってペコペコする花那ちゃん。


「中庭でも行く?」


真紀が去ったところで、花那ちゃんに声をかける。

今日はこのあと朝読書だから、教室にはいてもいなくても大丈夫でしょ。

この時間の中庭なら人はいないだろうし。


私の言葉に花那ちゃんはこくんと頷いて、ついてくる。


「どうしたの?何かあった?」


中庭のベンチに座って聞く。


「あのね、」

花那ちゃんはぎゅっとスカートを握りしめて、言いにくそうに下を向く。