「サークルの勧誘した時。あの時、実はもうサークルは辞めようかと思ってたんだ。もうオレがいなくてもやってけそうだったし。それで、借りっぱなしだったDVDとか、返すつもりで鞄の中に入れてたんだ」


そうだったんだ。

あの時、カジ君がホラーDVDを持ってたのは、そういう理由からだったんだ。


「でも、ナギのこと見つけて。なんとかして話しかけたくて、思いきってサークルに勧誘したんだ。必死だった。ナギが入ってくれないと、もう二度と会えないかもしれない……って思ったから。だから、オレめちゃくちゃ早口でまくしたてるように説明してただろ?」


そう言えばそんな感じだった気がする。


「多分、ナギはわけわかんないままに入会してたと思う。オレがそう仕向けたんだ。ナギが入ってくれてめちゃくちゃホッとしてた。で、そうなるとオレも辞められなくなって代表続けてたってわけ。ぶっちゃけオカルトなんか全然興味ねーし。けど、ナギ、一生懸命研究してたでしょ? ホラー映画とかさ。だからオレもそれに答えなきゃ……って、ずっと興味があるフリしてたんだ」


そうだったんだ……。


あたしたち、相手に合わせようと同じことしてたんだね。


「カジくーん」


あたしはポロポロと泣き出した。