好きっぽい★

「カジの兄貴」


「お兄さん?」


目を凝らしてじっと見つめる。

だんだんこの暗さにも慣れてきたみたい。


お兄さんはさっきの表情がウソみたいに、今は優しい目で笑ってる。

少したれ目がちで優しそうなカジ君の目とは対照的に、お兄さんは鋭い切れ長の目をしてる。

だけど笑うとちょっとだけ、カジ君に似ているような気がした。



「おっ、お兄さん、何してんですか?」


この部屋はお兄さんの部屋なのかな……とキョロキョロ見渡してみたけど。

そんな感じはしない。

なんていうか生活感がまるでないのだ。

この部屋には、何の家具も置いてなかったから。

てか、なんで電気もつけずにロウソク1本で過ごしてたわけ?


「何してたかって? 知りたい?」


お兄さんはニヤリと笑って、あたしの顔を覗き込んでくる。

切れ長の目が妖しく光ってあたしを捕らえる。

なぜかその迫力に圧倒されて、ジリジリと後ろに下がった。

な……何?

何なの?

もう壁際に追い込まれて、これ以上逃げ場がない

そう思った時。


お兄さんの吐息があたしの口元に触れた……。


ひっ……。