「ぐすっ……バカですよね? 好きになってもらえるわけないのに……告ったりしちゃって……カジ君、すごく困ってた……」


「お前らの様子、なんかヘンだったから気になってたんだけど……そういうことか」


大野先輩ははぁって大きなため息をつくと、何かを納得するように、静かに呟いていた。

そしてスッと紙袋をあたしに差し出す。


「それだったらなおのこと、これはナギが持っていけよ」


「え?」


「あいつ、結局自分の気持ち、何も言ってねーじゃん。ちゃんとカジの気持ち、聞いてこいよ?」


あたしはフルフルと首を振る。

そんなこと無理だよ……。

何も言われなくてもすでにフラれたようなもんなのに。

もう一度はっきり言われたら、あたし立ち直れない。

それに、しつこい女だって思われるのイヤだし。


「とにかく。もう一度、アイツんち行ってみな?」


大野先輩は強引に紙袋をあたしの手に持たせた。