好きっぽい★

「あっ……あのっ……」


やっと解放された口をパクパクさせる。

言いたいこと、聞きたいことは山ほどあるのに言葉が出てこない。



「キミ、カジの大学のコ?」


その人はまるで不審者を見るような目であたしをじとーって睨む。

別に怪しいもんじゃありませんよ!……とばかり、うんうんとあたしは首を縦に振った。

というか、アンタこそ誰?
 
って言いたいのに、相変わらず言葉は何も出てこない。


怖いっ……。

怖すぎるよこの状況。



薄暗い和室にあたしは見知らぬ男と二人っきり。

室内を唯一照らしているものは、1本のロウソクの明かりだけだった。


そのゆらゆらと揺れる明かりに照らし出されている人物。

怖いのに、目をそらすことができない。

人間の顔って下から光を当てると、すっごい不気味なんだよねぇ……。


「あのっ……アッ、アナタは……」


ガチガチ震える口でようやく言葉を振り絞った。


「ああ。オレ? オレは……」