「じゃ、恒例の罰ゲームは……タイムの一番遅かった、ナギでーす」


大野先輩があたしの肩をポンッと叩いた。

うう……。

あんな怖い思いして、おまけに失恋しちゃったのに、さらに罰ゲームまでやんなきゃならないのか……。

今日は厄日かもしれない。


「罰ゲームって何ですかぁ?」


そう言うあたしに、大野先輩は満面の笑みを向けた。



「トンネルに向って、大告白! 好きな人の名前、叫んで」


「え……」


みんな、口々に「おおおおお」とか「ひゅうううう」みたいな奇声を上げて盛り上がっている。

とても拒める状況じゃない。

だけど言えるわけないよ……。

たった今フラれたところなのに……。


なんであんなこと言っちゃったんだろう……。

告白なんかしなければ良かった。

そしたら、今だって、適当な名前を言ってその場を和ませることもできたのに。

今あたしが何言っても、シャレになんないよ……。


もぉ、やだ……。

泣きそうになっていると、ふいに背後から声がした。


「オレがやるよ、罰ゲーム」