――ポンッ

その時、ふいに頭に誰かの手が乗った。

顔を上げると、カジ君がにっこり微笑んでくれた。



「カジくーん」


涙目で訴えると、


「怖い?」


誰にも聞こえないように、カジ君がそっと耳打ちしてきた。


あたしは慌ててブンブンと首を横に振る。


怖がってるなんて知られちゃダメなんだもん。


会員規約は……

“オカルトをこよなく愛すること”だから。


「怖くないです!」


できるだけ平気そうな顔を作ってそう言ってみた。


カジ君はクスって笑うと。


「じゃ、こんなの必要ないかもしれないけど……」


と言いながら、被っていたキャップを脱いであたしの頭にかぶせた。


「ナギだけ特別な。これ、お守りだから」


――特別


その言葉に胸がキュンってなった。

カジ君知ってる?

女の子は“特別”って言葉に一番弱いんだよ?