――うそでしょ?

体がガクガクと震え出す。



「あの……ホントにいないんですか? お兄さん……」


ケイちゃんの声も震えていた。


「一昨年の夏にね。ちょうどこんな風に暑い日だったね……」


お母さんがしみじみと呟いた。



「ちょっと変わってたけど、良い人だったよな」


大野先輩も何かを懐かしむように言った。


「え? 大野先輩も知ってるんですか?」


ケイちゃんが問いかける。


「ああ。オレらのサークルの先輩だったからさ。つか、オカルト研究会は、もともとカジの兄貴が作ったんだよ」


「そうだったんですか……」


あたしはそう言うのが精一杯だった。