好きっぽい★

「うん。ここ出て右にいって、つきあたりを左に曲がって、さらにそのつきあたりがトイレなんだけど、そこを右に曲がって3つ目の部屋がオレの部屋だから」


「えっ……えっ……?」


右いって左曲がって……え?

もういきなりわけわかんない。

迷子になること確実。

こめかみを押さえて考え込むあたしに、カジ君はクスって笑うと、もう一度ゆっくり説明してくれた。


「わかる?」


「うん。なんとなく……」


よろよろと立ち上がろうとした腕をカジ君が掴んだ。


「やっぱ心配だからついてくわ」


大丈夫だよって、断ろうとしたら、誰かがカジ君を呼んだ。


「おい、カジー?」


一瞬そちらに気を取られたカジ君の腕をほどきながら、あたしは言った。


「あたしなら、一人で大丈夫だから」


そしてカジ君の返事も待たずに部屋を出た。