「実はこの部屋だけじゃなくてね、昔から色んな怪奇現象が起こるんだよ」


「それって……」


隣でケイちゃんがゴクリと唾を飲み込む音がした。


「幽霊ってことですか?」


――幽霊

その言葉に、あたしの思考回路は完全に停止してしまった。


ほんとに……?


あたし……幽霊にキスされちゃったの?


その後もケイちゃんとお兄さんはなにやら話しこんでいたけど、あたしの耳には何も届かなかった。

ただ、最後にお兄さんは「この話は内緒にしててね。うちに幽霊が出るなんて噂になりたくないから」と、あたし達に念押しした。