昨日は所属しているサークルの飲み会があった。

そして二次会はサークルの代表、カジ君の家で行われた。


カジ君……フルネームは山ノ内舵(ヤマノウチ・カジ)。

あたしの3つ上で4年生だから、本当なら「山ノ内さん」とかせめて「カジ先輩」とかって呼ぶべきなんだろうけど……。

カジ君はその気さくな性格からか、誰からも「カジ」とか「カジ君」って下の名前で呼ばれてて、あたし達1年もいつの間にかそう呼ぶようになったんだ。


カジ君の家に行ったのは初めてだったんだけど、その広さにかなり驚いた。

大きな日本家屋。

長く続く廊下から見える手入れの行き届いた庭。

池には高価そうな錦鯉まで泳いでいた。

まるでドラマなんかに出てくる料亭や旅館のように感じた。

実際に何かの撮影に使われたこともあるんだって。


「すごいお家ですねぇ」


ポカンと口をあけてキョロキョロしているあたしに、

「古いだけだよ。築50年は経ってんじゃね? 掃除も大変だし、冬なんて寒いし。あんまり良いことないよ」

なんてカジ君は興味なさそうに言ってたけど。


とにかくそれぐらい立派なお宅だった。


襖を開けると、いくつかの部屋を繋ぐこともできるので、即席の宴会場になった。


あたし達はさっそく買い込んできたお菓子やおつまみ、お酒やジュースを広げて飲み会を始めた。