もう、心臓はこれ以上ないぐらい激しく動いている。


大丈夫って言いかけた口が止まった。

カジ君が心配そうに顔を覗き込んできたから。


うわわ。

そんな至近距離で見つめないで欲しい。

無意識のうちに、彼の唇に目線がいってしまって……

さっきのキスを思い出しちゃう。


ボンッ!

さらに顔に血が昇る……。


うう……。

もうダメ、限界……。

そう思ったその時、カジ君の腕がスッと伸びてあたしのおでこに触れそうになった。


「ぎゃあああああ」


ヘンな奇声を発して、のけぞる。

その拍子に体のバランスを崩してしりもちをついてしまった。


「『ぎゃああ』て。んな、露骨に嫌がらなくてもいいだろ」


カジ君が目を細めてじっとあたしを睨む。

しまった……。

嫌がってるわけじゃないのに。

違う!

違うのって、否定したいのに、言葉が出ない。