聞き覚えのあるその声に、あたしの肩はビクンと震えた。

あたしの大好きな低い声。

――カジ君だ。


「いやっ。あの……ツッチーが酔っ払って寝ちゃってるみたいで……」


顔を上げることもできず、もごもごと答えた。


すると、あたしのすぐ横にカジ君もしゃがみこんだ。

その距離に、また心臓が激しく脈打つ。

うう……。

熱まで上がってきそう……。


「ったく、しょうがねぇなぁ……おーい。ツッチー! って、ええ?!」


ツッチーの顔を覗き込んでいたはずのカジ君は、ふいにあたしの方を向いて驚いたような声をあげた。


「つか、お前の方こそ大丈夫? 顔真っ赤じゃん。 熱あんじゃねーの?」


「ほえぇ?」


思わず、カジ君の方を向いてしまった。

視線がぶつかる。


――しまった。

見るんじゃなかった。