「ああああああ。やだな……もぉ」


ため息ついて、枕を抱えて抱きしめた。

カジ君の香りがして、胸の奥がキュンとした。

彼がそばにいてくれてるみたい……。

なんだかホッとして、瞼が重くなって……


やがて意識が遠くなっていく……。




どのくらいそうしていたんだろう。


スッと襖を開ける音がして、あたしは意識を取り戻した。

だけど体はけだるいままだ。

目を開けることもできない。

誰かが部屋に入ってくる気配を感じた。


畳が擦れる音がする。

こちらに近づいてきている?


目を開けなきゃ……って思うのに、体がいうことをきいてくれない。

よっぽど疲れてるのかな……。

しょうがないので、寝たふりを決め込むことにした。


すると、ふわりと温かいものに包まれた。

その人があたしの体にタオルケットをかけてくれたのだ。

やっぱり風邪気味だったのかな。

ほんのちょっと肌寒かったから、ちょうど良かった。


お礼が言いたいけど、今更目を覚ますわけにもいかないし……

しばらくそのままでいた。

だけど……。


あれ?


まだいるよね……?