俺だけ見てれば、いーんだよ。






ブーツを履いて、傘をさして、雪の中をさくさく歩く。

早く十夜に会いたい。

待ち合わせの駅で待っていると、十夜が少し遅れてやってきた。

「わりぃ、待ったか?」

「待った、待った、超待った」

「嘘つけ。約束の時間にもなってねえじゃねえか」


私服の十夜を見るのって初めてだなー。

黒いニットに紺のシンプルなコート、Gパン。

かっこいい……。


イルミネーションの綺麗な通りは駅から歩いてすぐのところにある。

「行くか」

「うん」

私たちは歩き始めた。


数分歩くと見えてくる。

街路樹に巻きつけられたイルミネーションの灯りが雪の白に反射する。



「綺麗だねー、十夜」

「だな」

「ホント素敵!」

イルミネーションの灯りを携帯で写真に撮る。


こっそりと、十夜の横顔にもシャッターを向ける。


カシャッ。


その音で、十夜がこっちを向いた。


「おい、盗撮か」

「だって、十夜の写真欲しかったんだもん」

「金払え」

「やーだよー」



走って逃げようとしたら、積もった雪に足元をとられて転びそうになった。


「あっぶねっ」

十夜が咄嗟のところで、私の腕を掴む。


「那菜ってほんと、危なっかしいな」

「ごめーん、……でもさ」

「ん?」

「これからは十夜が私のこと、守ってくれるんでしょ?」

「当たり前だろ。那菜は『彼女』なんだから」



『彼女』……いい響き!