2人の姿が見えなくなるのはすぐだったけど
なんでか目に焼き付いて消えてくれない
「はぁ…」
なんとなく憂鬱な気分、
だけどこれからバイトがあるんだ
クリスマスはケーキ屋さんにとって大事な日だからしっかりしなきゃね
「(スマイルスマイル!)」
私の視界をぼかした涙は流れることなく冬の空に消えていった。
───*
君との出会いはそう、本当に偶然だった
───*
「詩桜!夏休みだからってゴロゴロしてるならバイトしなさい!」
高2の夏休み、共働きであるお母さんは
私が暇そうにしてるのが気に食わないらしくバイトしろってうるさかった
で、しょうがなく家の近くにあるお気に入りのケーキ屋さんでバイトすることにした私は…
初めてのバイト、初めての接客。
初出勤である顔合わせの日
「み、み、満井 詩桜で、です
よろ、よろしくお願いします!」
かなり、緊張してた
…それはもう今思い出すと顔から火が出そうな位恥ずかしい程
「あはは、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ?」
「うぅ…はい…」
ここのお店のオーナーさんは凄く優しくて、人当たりもいい、
本当にいい人で安心したのを覚えてる
「それじゃあ詩桜ちゃんの教育係は…優真君にしようかな。
同年代の方が話しやすいでしょ?いいかな?」
優真君…?聞いたことあるような…
なんとなく気になって顔を上げると
「……………っ!」
か、かっこいい…っ
背の高い黒髪の人が私を見ていて。
女の店員さんが彼の事を見て、私に羨ましいっていう顔をしてるから直ぐにこの人だってわかった
「…構いません。彼女はクラスメートなので」

