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「ううっ寒いっ…」


学校を出ると、ヒューっと冷たく乾いた風が通り過ぎた


マフラーをぐるぐるに巻いても足を出してたらそりゃあ寒い訳なんだけど、それがJK!


それに、これから私の好きな人に会えるんだ。


今日は少しでも頑張ろう


軽くペチっと頬を叩いて気合を入れた


そして私は青い空を見て歩き出す


すると


「あ…」


か、彼だ…


だるそうにポケットに手を入れて歩く姿


あの高い身長


…ぜ、絶対間違いない


胸がドキッと高鳴った。


「(声、かけてもいいかな…?)」


迷惑、じゃないかな?


もしかしたら嫌がるかもしれない


でも、それでも…沙織に素直になるって約束したから


私はぐっと息を込めて





「ゆう…「あ〜優真君っ♪」


呼ぼうとした。


「………っ」


私が彼の名前を呼ぼうとしたその時


茶色の巻き髪を揺らし腕に抱きついたのは


誰が見ても可愛い顔と認める美人さん


名前は…


「……美咲先輩」


近くなくてもハッキリ聞こえた声。


そう、美咲(ミサキ)先輩


女っ気がない彼の唯一の噂の人


…付き合ってるの、かなぁ


でも腕組むの嫌がらないからそうなのかな


「何これ…」


なにこれ。すっごく痛い


胸がギュッと締めつけられるみたいな痛み


おもわず胸の前で手をぎゅっと握った



「(お願い、早く行って…)」


見てられないよ


ねぇ、好きになるってこんなに苦しい事なの…?


楽しいことばっかじゃない。


でも…辛い。




この人を想うのはいけないコトなんですか?


お願い。誰か、




私に教えて…。