「悪かったって。


……ってじゃなくて、今日お前まじでクリパ来ないの?」


それ、さっき沙織にも聞かれた


「うん、今日バイト。」


「ふぅん?それってアイツのため?」


周りに聞こえないようにちょっとだけ私に近づいて言う颯大


そして、視線は…


私は彼がいるであろうところに目を向けると


「おーいーそこのカップル!いちゃつきながらこっち見るな!」


「そーだそーだ!!だからお前らクリパ来ないんだろー!」


さっきからやり取りを見ていただろう集団にちゃかされた。


「違うわボケ!ガキ!バカ!


俺と詩桜は付き合ってねーし。


それに第一!俺はクリパ行くし!!!」


これはよくあることだけど、


あまり良く知らない人と上手く話せない私の代わりに颯大にいつも言い返してもらってる。


「あ、そっか、お前は「それ以上言うなぁ!」…むがっ!」


と、颯大は集団の中に入って行ってしまった。


あれはきっと颯大の好きな人バラされそうになったんだな


耳まで真っ赤だし、たまには可愛いとこもあるよね


ふふっと心の中で笑う




だけど…


さっき集団に目を向けた時



「……………っ」


ほかの人が私達をからかう中で彼は…彼だけは興味がなさそうに違う方を向いていた


これって脈無し…なんだよね、きっと…



「詩ー桜っ」


その時ポンポンと肩を叩かれて我に返った


「ん?なに?」


振り返ると少しだけ眉を下げた沙織の顔。


「大丈夫、詩桜は可愛いんだから


もし、辛い事があっても私や颯大が話聞くから。


だから今日は少しだけ素直になってみな?」


「………っうん。ありがとう」


私達は顔を見合わせて笑った



沙織と颯大は私の好きな人を知っている。


教えたんじゃないんだけど…バレちゃった


それでも2人は応援してくれてるから。


今日が終わったら…改めて2人に報告しよう


私は"彼"が好きで


"彼"は私の初恋であることを