案外サンタはいるかもな。



「え、だって…」


そう言われるとなんて答えたらいいのかわからない。


優真君が行かないから!なんて本当の事は言えないし…


でも確かに私、感じ悪かったかも


"ごめん。"そう言おうと思ったのに


「…颯大に好きな奴が出来たから、か」


ふと吐き捨てるように聞こえた声に何も言えなくなった


颯大が…なに…?


「嘘、気にすんな。


…じゃあな、帰り気をつけろよ。お疲れ」


「あ、ちょっ、優真君…っ」


チリンチリン〜♪


ベルを鳴らして閉まったドア


オーナーも今用事で外してるからこのお店には私一人。


急に静まり返る部屋と、外から聞こえる賑やかな音


なんだか急に泣きたくなった。




…こんなはずじゃなかったのに


もっとちゃんと話しかけてアピールして…


例え振られても後悔しないように告白しようって思ってたのに…。


私は、告白すらしないでまた逃げるの…?


ほんとに、それでいいの?


本当に…?













…だめ。


ダメに決まってるよ!!



私は上に着ていたサンタ服を脱ぎ捨てると


バンッ!!


扉を押し開けて、走り出した


煌びやかな街並みには目もくれず


サンタの歌なんか聞こえない。


あれだけ羨ましかった恋人達も今では…


「すいませんっ!通してください!」


ちょっと…いや、かなりどいて欲しい!!



「どこ…?」


どこにいるの?優真君


あれ、優真君の家こっちであってるよね?


…た、たぶんあってるはず


自信はないけど。


「はぁっ…はぁっ…」


人混みを掻き分けながら進む


なのに全然進まないから体力だけが削られていって息が切れる