「あ、やっぱいた。」
高瀬くんは屋上で寝っ転がっていた。
「よぉ」
ひらひらと手を振る高瀬くんは、笑っていた。
「あの、今朝は本当にありがとう。お陰様で自分の気持ちを言えました」
なんとなく敬語になる。
「沢田さん、全然弱虫じゃなかったな。かっこよかった」
面と向かってそういうこと言えるなんて、すごいな。
「ありがとう」
私は自然と笑みをこぼした。
「沢田さ…沢田、屋上気に入った?」
沢田。高瀬くんに初めてそう呼ばれた。
「うん。最初は、逃げ場みたいに思ってたけど。今は、なんか落ち着く。」
「俺、いつでもいるし。たまに来いよ」
「なんか、秘密基地みたいだね。こういうの楽しい。」
「な。」
幼い日の自分に戻ったようでーー。
すごく、楽しかった。