***凛side***

「俺、やっぱ沢田のこと諦められない」
「………」
予想はしてた。
さっき、ことはと杉浦に翔太が嘘をついたから。
あたしたちが付き合ってる。って酷な嘘を。
「もう、キスのこと気にしてないから」
「…なんで。なんでことはじゃなきゃいけないの!?」
あたしだって、そこそこ可愛いのに。
ことはより運動得意なのに。
「…よくわからないけど。大好きなんだ」
–––あたしの前でその顔はズルい。
「キス…。忘れないで!初めてのキスはあたしなんだって覚えてて」
見苦しいけど、そんなことにしかすがれなかった。

翔太はことはを捜しにあたしの元を離れる。
「………ばーーーかっ!」
その時のあたしの表情は、自分でもびっくりするくらい晴れやかだった。