「……高瀬くん、どこなの?」
肝心の場所がわからない。
はぁ。とため息をこぼす。
「……今1人?」
「え?」
知らない男の人に声をかけられた。
大学生くらいの、二人組。
「今からカラオケなんだけど行こうよ」
「は、はい?」
「いーじゃん!暇なんでしょ?」
ぐいっと手を引かれる。
杉浦くんよりも、ずっと強い力。
ぞくっと背筋が凍る。
「は、離してくださいっ」
「暇ならいーじゃん」
怖い。
どうしよう。
「……………高瀬くっ」
「は?誰だよそれ」
もう、ダメだ。
周りの人は、そそくさと見て見ぬ振りの繰り返し。
誰も助けてなんてくれない。


–––グイッ



掴まれてた手が離れて、道路にしゃがみ込む。
「……俺の、大切なやつなんで」
助けてくれたのは、高瀬くんだった。