結美と杉浦くんが行くはずだったデート。
–––ザバッ。
モヤモヤと浮かぶ罪悪感を追い払うように、思い切り水を顔にかけた。
私は今日、杉浦くんと映画館デートをする。
「……あれ?」
時間を確認できるように置いておいた時計が……………動いてない。
「ほ、本当の時間はっっ」
ダラダラと嫌な汗が流れる。
……これ、ピンチかも。
「行ってきまーーーーすっ!」
バックの中に、財布や携帯を放り投げダッシュで集合場所に向かった。

「ごめん!!遅れました!」
杉浦くんの姿を確認し、バッ。とお辞儀をする。
「…おー!へーきへーき」
ニッといつものように歯を見せて笑った。
ホッとして口元が緩む。
「「何の映画みる?」」
隣にいたカップルの1人と声が合った。
「あ、すみません」
ペコリと頭を下げると、相手の男の子も頭を下げた。
「……沢田?」
高瀬くんは、凛と手をつないでいた。