ガラッ
勢いよく、ドアを開ける。
たくさんの目が私に向けられ、逃げてしまいたくなる。
でも、それじゃ弱虫のままだ…
今のままじゃだめだ。
自分に言い聞かせて、凛をまっすぐに見る。
「…凛」
凛も私をまっすぐに見つめた。
「なに?」
「……もしも違ったら、ご…ごめん。清水さんに、嫌がらせしたのって、凛なの…?」
震える声で尋ねる。
クラスがざわつき始める。
「そうだけど?てかさぁ、お前偽善者ぶるのやめろよ。清水のことうざいとか言ってたよね?」
清水さんもこっちを見ている。
清水さんの目にも、私は偽善者としてうつっているんだろう。
でも……。
「私、凛が、こわい」
はっきりと、自分の気持ちを伝える。
「凛にびびって合わせて、笑って、でもこのままじゃただの操り人形。弱虫な偽善者。って思ったの…。」
凛は興味なさそうに私を見る。
「で?」
ぎゅ、唇を噛む。
「…だから、清水さんへの嫌がらせをやめて。」
言い切ると、凛はくすくすと笑い始めた。
いつの間にか、私と凛を囲む形で他のクラスからも野次馬が来ていた。
「お前さぁ、今クラスの全員を敵に回したんだよ?状況わかりますか?ねぇ、みんな?」
凛が女子達に向かって言う。
けれど、それに賛成する子はいなかった。
女子達は顔を見合わせて俯く。
「ちょ、なん、で、こんな偽善者の味方…」
凛が震える声で問う。
「…ウチらさ、ほんとはあんたのこと友達だと思ってないから。」
凛は動揺を隠しきれない、という様子だ。
「正直、あんたの方がうざい。」
「いつも見下してさ、何様ですか?」
「ことは、行こ。」
女子の1人に声をかけられる。
凛だけが教室に取り残された。