にじいろ

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高瀬くんに会いたいけど、会いたくない。
そんな感情すらも愛しくて昨日のことを思うと切なくなる。
「高瀬くん……」
凛のことが好きなの?それとも、私に愛想を尽かしたの?
怖くて聞けない。
「…沢田っ」
息を切らした高瀬くんが私の腕を引っ張った。
「待って、逃げないで」
落ち着いた声で言う高瀬くんの片手には、いつものココア。

『夏なのにココア?』
いつか私がそう聞いたら、高瀬くんは幸せそうに笑った。
『おいしいんだ』
その顔を見て、もっと幸せになっちゃって。

「昨日はごめん。あれはその…事故っていうか、工藤もわざとじゃないんだ」
高瀬くんは、私の目を見なかった。
「…嘘つき」
目の前の人は嘘をついている。
それくらいのこと、長い間人の顔色を伺ってきた私にはわかっちゃうんだよ?
「沢田…?」
「もう、高瀬くんを信じられない」
ショックだった。
高瀬くんは私に嘘なんてつかないって信じてたから。
「別れよう」
その日、私と高瀬くんは2週間ちょっとであっけなく別れた。