にじいろ

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屋上で待ってるって、高瀬くんが言ったから。
早く会いたくて、廊下を走って。
高瀬くんは…私達の秘密基地で、凛とキスをしてた。
「……高瀬く…ん?」
なんで?どうして?
いくら考えても答えは見つからない。
「沢田……」
「ことは。この前も会ったよね」
凛は何も無かったかのように微笑んだ。
「………………今、キ、キス…」
なんて臆病な声。
そう思うけれど震えが止まらない。
「さわっ「うん。キスした」
高瀬くんの声を塞いで話す結美は、表情を変えようともしない。
キス、したんだ。
高瀬くんと凛が。
嘘なんかじゃない。
「…沢田」
手を伸ばす高瀬くん。
ビクッ
思わず一歩下がる。
「ごめん……、高瀬くんを信じられない」
高瀬くんはどんな顔をしてるかな。
大好きなのに、キスしてるのを見ても、ちっとも嫌いになれないのに。
ドアを勢いよく開け、教室へと走る。
「はぁっはぁっ」
なんでキスしたの?
聞く勇気なんてなくて、また同じことを繰り返す。
「高瀬くん……」
心が折れそうだ。
「ことはちゃん…?」
なんでなの。
なんで今なの。
「…杉浦くん………」
ポタ
涙が溢れた私を隠すように、杉浦くんは私を抱きしめた。