「えーと、高瀬くん?だよね」
「そうだよ。沢田さんだよね?昨日も来てた?」
高瀬くんが隣に座る。
なんとなくモテそうな人だな。
そんなことを思うくらい、高瀬くんはかっこよかった。
「おーい。沢田さん?」
私の顔を覗き込む高瀬くんに、ドキッとしてしまう。
一瞬、杉浦くんが浮かび、慌てて距離を置く。
「…えーと、昨日も来たよ。屋上に行ったら、心も綺麗になるかな〜って思って」
「へー。なんか悩んでんの?」
なんとなく言いづらくて、口をもごもごさせる。
「暇だから聞いてるだけで、べつに意味はないよ。」
高瀬くんの言葉に、少しほっとする。
「…友達ってなんなのか、よくわからなくなったんだ。」
話し始めた私の方を、高瀬くんはまっすぐに見つめた。
「仲の良い友達が、ある女の子を悪く言っていて。私はその女の子のこと、嫌いじゃないのに悪口を言って。」
「……」
「合わせるだけが友達なのかなって。」
清水さんの笑顔を見てから、私はどうすればいいのかわからなくなった。
「…つまり、沢田さんは弱虫なんだ?」
「……」
図星すぎて何も言えない。
「友達って、正直な自分を見せても、それでもそばにいてくれる人だと思うよ」
高瀬くんの一言は、きっと、今の私に1番必要な言葉だった。
「…私、弱虫卒業したい!」
それだけ言い残し、私は、教室へと駆け出した。