杉浦くんが去った後も、高瀬くんは不機嫌なままだった。
「家まで送ってくれてありがとう。」
「ん。」
素っ気ない態度に胸がチクッと痛む。
「……高瀬くん！」
腕を掴まれて、高瀬くんは目を丸くした。
「何に怒っているのか、教えて欲しい」
聞かないままじゃ、きっと前に進めない。
「…………ごめん。沢田と杉浦の関係に嫉妬した」
なんだ、嫌われたわけじゃなかった。
高瀬くんは、目を逸らさずに私を見た。
「抱きしめても、いい？」
…ずるい。
そんなこと言うなんて。
私ばっかりドキドキして、ほんとずるい。
「…うん。」
高瀬くんの腕が背中に伸びる。
少しずつ、速くなる鼓動。
「私、高瀬くんがだいすきだよ」
その時は–––。
この幸せがずっと続くって。
信じてたんだ。