にじいろ

「どこ行く?」
放課後。
高瀬くんと初めて一緒に帰っている。
「えーっと……」
映画はみたいのないし…
今からカラオケってのもなぁ…
「……」
高瀬くんは、じっと私の答えを待っている。
早く決めなきゃ…
「その––––…行きたいとこある?」
丸投げしてしまった。
「んー、じゃあついてきて」
高瀬くんが手を引っ張る。
変だな。
幼稚園のお遊戯会で男の子と手を繋いだ時は、何も思わなかったのに。
繋いだ手が、すごくあたたかい。
手をぎゅっと握り返した。

「ついた」
しばらく歩いた後。
橋の上で高瀬くんは止まり、上を指差した。
「わぁっ……」
見惚れてしまうくらいの、綺麗な夕日。
「学校帰り、たまにここに来るんだ。沢田と一緒に見たかった。」
「…綺麗だね」
夕日に照らされた高瀬くんはすごくかっこいい。
「…ことはちゃん?」
「杉浦くん……」
ポケットに手を入れた杉浦くんが、ジロリと高瀬くんを睨みつける。
「…デートの邪魔して悪い」
「あ、いや大丈夫だよ。」
高瀬くんはさっきから何も言わない。
「高瀬も、悪かったな」
「 …別に」
何で、このタイミングで杉浦くんに会うんだろう。