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あの後、『一人になりたい』と言った結美の元を離れ、ショッピングモールを一人でまわっていた。
「結美……」
嫌がらせを受けても、涙を見せなかった結美が、泣いていた。
詳しくは聞けないけれどきっと、すごく辛いんだと思う。
私が辛いとき、高瀬くんがいてくれた。
結美には、私がいてあげるべきなのに。
どうしてあげることもできなかった。
ドン
誰かにぶつかる。
「すみませっ」
「ことは…」
目の前にいた凛は、目を丸くしていた。
「…凛、久しぶり」
「杉浦と別れたんだって?」
凛は、ニヤリと笑った。
「なんで、それ…」
「誰かが話してるの聞いたんだ〜、結構広まってるよ?あんたが翔太と浮気した。ってね」
なにも、言い返せなかった。
「翔太はあたしの好きな人だから。あんたなんかとくっつくはずないけど」
「……」
「杉浦を紹介したのは、清水への良い嫌がらせだったんだけどね〜」
「っ…」
凛は、知ってたんだ。
結美が杉浦くんを好きだって。
知ってて、私に紹介したんだ。
怒りが湧いてくる。だけど、凛は話を続けた。
「どう?清水みたいな男好きと、仲良くしてる気分は」
「…結美は、そんな子じゃない!」
大きな声で訴えた。
「そ」
「あと、私、高瀬くんのこと好きだから!」
「…あんたなんかとくっつくわけない」
凛は、くるりと向きを変え、どこかへ行ってしまった。