にじいろ

＊＊結美side＊＊

「落ち着いた？」
ことはが心配そうに言った。
わかってる。ことはは、悪くないって。
だけど…思ってしまう。
蒼斗に好かれることはを、ズルイって。
「…ごめん。泣いたりして」
「ううん。大丈夫」
微笑むことは。やっぱり、優しい子だなって思った。
「今は…一人になりたい」
すごく最低な言葉。
だけど、これ以上ことはといると…ことはを憎む自分がでてきてしまう。
もうこれ以上、最低になりたくない。
「…わかった」
きっと、明るく笑ったつもりなんだろうけど、無理して笑ってるようにしか見えなかった。
ことはが、離れていく。
蒼斗が、ことはを好きじゃなかったら、こんなこと言わなかったのかな。
ことはは、弱くなんかない。
きっと、無理して強く振る舞う、あたしの方が弱い。