にじいろ

****


「好きだ。」
迷いもなく言い切る高瀬くんに見惚れる。
「これは俺が伝えたかっただけ。返事は、いらない。でも、いつか振り向かせる」
杉浦くんとは違う、真っ直ぐさ。
こんな風に言われて、嬉しくないわけがない。だけど…心の中には、杉浦くんがいた。

「杉浦くんと話す結美に、ヤキモチを妬いてしまいました。ごめんっ」
休み時間。
結美に正直な気持ちを伝える。
高瀬くんも、私に想いを伝えてくれたから。そのことが、私の背中を押した。
「あたしも言い過ぎてごめんね。それと…伝えなきゃ、いけないことがあって」
真剣な目。
ゴクリと、息を飲む。
「好きな人がいて」
「そうなの!?」
びっくりして、つい大きな声が出る。
「…な、なんてね。嘘ついた」
「えっ!嘘かー。びっくりしたよ」
もしかして、杉浦くんかも。なんて思っちゃった。
「好きな人ができたら教えてね!」
結美は笑顔を見せた。
その笑顔が、いつもと違う笑顔に見えたのはきっと気のせいだ。