放課後。
「ことはちゃん、帰ろー」
「あ、うん…」
声をかけてきたのは、杉浦蒼斗こと、私の彼氏。
凛に紹介されて、なんとなく付き合うことになった。
隣のクラスだけど、あまり接点は無い。
以前凛が、
『ことはのどこが好き?』
と聞いた時
『顔!』
と、即答した。
そんな感じの人だ。

ぼーっとしている内に、教室にいた生徒はいつの間にかいなくなっていた。
「杉浦くん待ってるし、急がなきゃ」
慌ててバックに教科書を入れていると、清水結美が教室に入ってきた。
目が合ったけれど、特に話すこともないため、無言の空間が流れる。
清水さんって美人だな…。
そんなことを考えていると、
清水さんがなにかを捜していることに気がついた。
「探し物、してるの?」
初めての会話で、少し緊張する。
「……靴が無い。」
清水さんは机の中やロッカーの中をガサガサとあさっている。
「凛が……。」
「え?」
「あ、ううん。私も探すの手伝うよ。」
凛は嫌いな人に嫌がらせをよくする。
もしかして凛が……?
ゴミ箱をひっくり返して、ゴミをあさった。
「…あった!」
思わず靴を持ち上げると、清水さんが嬉しそうに笑った。
「ありがと」
その笑顔に私も嬉しくなった。