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凛とも、杉浦くんとも、結美とも。
気まずくなってしまっている。
「はぁ…」
「沢田さ、今日屋上来いよ」
高瀬くんに話しかけられる。
「あ、うん!」
抱きしめられたっぽい日から、屋上にも行っていなかった。
あの時のこと、気にしなくていいんだよね…?

「やっぱり落ち着くなぁ」
久しぶりの屋上は、開放感を感じた。
「秘密基地とか言ってたもんな」
「うん…」
どうしても、杉浦くんや結美のことが頭をよぎってしまう。
「まだ、杉浦と仲直りしてないんだ」
なんでわかるんだろう。
「今、なんでわかるんだ。って思った?」
「エスパー!?」
思わず立ち上がる。
「顔に書いてある」
高瀬くんは、目を細めて笑っていた。
改めて、かっこいいなと思った。
「私、杉浦くんや結美と喧嘩して落ち込んでたけど。高瀬くんといたら、なんとなく安心した。」
「……」
「ありがとう。」
お礼を言うのは、これで二回目。
いつも、高瀬くんが助けてくれる。

「好きだ」

瞬きを忘れてしまうくらい、予想外の言葉だった。