「高瀬くん?」
屋上で呟くも、そこに高瀬くんの姿はなかった。
「いつでもいるって言ったくせに…」
びっくりするくらいワガママな自分に呆れる。
だけど、今は。
誰かと一緒にいたい。
ほんと、杉浦くんはこんな私のどこがいいのかな。
「…結美の方がお似合いだったりして」
「そう思うなら別れれば?」
隣に座ったのは、高瀬くんだった。
「たかせく…」
「そんなの、ただの被害妄想だろ。」
「…っ、な…何にも知らないくせに!!………ごめん。今の八つ当たり。」
少しずつ、冷静になっていく。
「いや、俺も言い過ぎた」
「ううん。高瀬くんは正しいよ」
高瀬くんの言葉って、すごく落ち着く。
「私って、弱いね」
涙がこぼれる。
弱虫卒業どころか、泣き虫にもなっちゃったみたい。
「俺が、いるから」
高瀬くんは、私を抱き寄せた。
バクバクバクバクバクバク
心臓が大きな音を立てる。
「高瀬くん…?」
高瀬くんの心臓は、私のなんかよりも、もっともっと大きかった。
「俺ならこんな…」
「え?」
「いや、悪い。なんでもない」
高瀬くんは言い残して、どこかへ行ってしまった。
「あつい…」
私の顔は真っ赤に染まっていた。