香さんの家を出て考える。
私の元にいるよ。....か。
私の元....って?
どういう事だ?
それからはインターネットや親戚に聞き
回った。
しかし香さんの”元”はわからなかった。
そんな時、ある病院に入って行く正木さん
を見た。
「あのー....正木さん....?」
恐る恐る声を掛けると正木さんは振り向
き、驚きの表情を浮かべた。
「か、和珠...お前...いつ帰ってきたんだ...」
「ついこの間だよ。」
にこりと笑って答えると、
「そうか...美咲は...?」
あ...そうか、知らないんだ。
「母さんは、父さんと...あそこに行った
よ。」
空を指さすと、正木さんは、目を見開き、
よろめいた。
「そ、そうか。和珠は母さんも父さんも
失ったんだな...」

