────4年前────
「なぁ、和珠。美咲(ミサキ)。フランスへの転
勤が決まった。」
母さんの名前が美咲。
「えぇ。そうみたいねぇ。もちろん私はあ
なたについていくわ♡⃜」
母さんは嬉しそうに、そう言って笑った。
「和珠は....どうする..?ひとり暮らしをして
もいいし、ついて来てもいい。」
父さんは硬い表情で。
「....いくよ。ついてく。」
俺の返事は早かった。
本来なら悩むところだが、親友と絶交した
ばかりだ。
ここにいてもやる事がないし、学校にも行
く気にならない。
だったらついて行こう。
俺はそう決めていた。

