「はぁ...」
あたしは教室に入って自分の机と思われる椅子に座るなり、ため息をついた。
入学式が始めるのは、8時30分。
今は8時25分。
なんとか間に合ったぁ...。
さすがに高校生活の始めっから遅刻はまずいよね...。
息を整えて、周りを見渡してみる。
あたしの入学したS高校は、結構レベルの低い学校。
成績の悪いあたしがギリギリ入ったところだから、髪をいろんな色に染めてる人やピアスを何個もしている人もいる。
...あたしはというと、髪はぱっつん前髪の黒髪ミディアム。
で、制服のスカートは膝が見えるくらい。
どこにでもいる、平凡な女子ってやつ?
当たり前だけどこんなやつ、派手な子達はつるもうとも思わないよね。
「ねぇ」
えっ?
あたしの机の前に、茶髪の男子が居た。
あ、なんか...怖い。
「な、なんですか?」
あたしはおそるおそる聞いた。
「そこ、俺の席だと思うんだけど」
「へ?」
あ、あぁ。
あたしが間違って座ってたってことね。
「あ、ごめんなさいっ」
あたしは椅子から立ち、また自分の席を探した。
水瀬夏樹、水瀬夏樹、水瀬夏樹、っと。あった。
って、え!この人の隣?!