…ぺしぺし
おもむろに叩かれる背中
やめてと、その度に叫びたくなる
なんてことないふりをしながら
「もう!叩くなんて最低!」
つまらない返しを音に乗せて、口を尖らせ君を振り向く自分のことが、滑稽に思えてならないのです。
本当は、胸のどこかで
ううん
配布物が回る度に。
後ろの席の君との、小さな時間を、待ち遠しく思ってるくせに。
先生が、傍らからプリントの山を取り分けて、一番前の席の私に、ほいと手渡すそれをぼんやりと見て。
それから、くるりと後ろを向いて、楽しげに友人と話す彼の黒髪を、そっと瞳に焼きつける。
一日の内に、何回か。
日によってくるくる変わるその回数
プリントを先生の机に認めた途端、大きな不安と一抹の期待
つかず離れず、虚空を舞う枯葉のように、そこには何も込められていない。
一連の作業を
ありふれた作業を
それでも私はその度に。
少なからず胸を弾ませて
少なからず君のことを想いながら
くるりと後ろを振り向くの。


