「…おはよーさん!」
私も笑って言葉を返す。
満足そうにもう一度笑った沙月。
見届けて、カタンと小さな音を立てて、肩にかけたままだった鞄を置く。
「…おはよう」
隣から、耳障りのいい声が自然に滑り込んでくる。
「おはよっ…洋!」
* 中崎 洋 *
中学からの友達
気さくでムードメーカーな洋は、悠介の親友でもある。
…でもって。
なかなかの…美形…
引き剥がしたくなるような、整ったちっちゃい顔
今だって…ほら!
後光が見えるよっ!…虹色の…!!
「……昔は、チンパンジーみたいだったのに…!」
「あ?」
ぼそっとこぼした音は、目ざとく拾われた。
べっと、舌を出してから前を向く。
…ふわり
運ばれてくる好きな人の、香り。
沙月との談笑をやめて、前に向き直ったんだろうな…。
…簡単に想像できる自分が恐ろしいッ!


