私が病気を患ってから1年後。



「俺と、付き合って」



私はものすごく嬉しかった。



でも、辛かった。



私はどちらにせよ死ぬから。



お別れしないといけないから。



ただでさえ、大好きな家族と友だちとお別れしないといけないくらいなのに、また大切な人が増えてしまえば、辛さが増す。



それが嫌だった。



だから…



「ごめん、なさい…」



「そっか。顔、上げて?」



…上げられるわけがない。



今の私は泣きそうだから。



大好きだけど、この気持ちは隠さなければならない。



「どうして上げてくれないの?そんなに俺のこと嫌い?」



「違うっ!」



その拍子に慌てて顔を上げちゃって…



「泣いてるの?」



って、優しく微笑んで言ったよね。



もう隠せなかった。



「私死ぬの!嘘、ついたの…薬でなんて治らない。手術も無理。治療法が見つかってない病気になったの。これ以上、大切な人を作りたくない!」



私の涙混じりの声が真っ白な部屋に響いた。



これで諦めてくれる。



そう思ったのに、君は違った。



「なら、幸せにする。笑わせる。絶対に…だから、俺と付き合ってください」



そんなこと言われたら、もう何も言い返せない…



「本当に…私で、いいの…?」



「うん」



「必ず…死んじゃうん、だよ?」



「そんなの関係ないよ」



「後悔、するかも…しれ、ないよ?」



「付き合えない方が後悔するから」



そう言って、途切れ途切れの私の言葉を聞き取ってくれた。



「よろしく、お願い…します…!」



「こちらこそ」



その瞬間私は暖かさに包まれたことを、今でも鮮明に覚えてるよ。