「ユメ、今日俺の晩飯作れよ」


「え?」

「外食ばっか飽きてきたんだよな
そろそろ手料理が食いてぇ」



そう言うと陽一は座ったまま引き出しをあけてガサガサしだした。

そういえば、
何度か部屋には行ってるけど
陽一が家でご飯を食べているところを見た事無い。


「わかった、
じゃあ何か作っておいて
陽一が帰ってくる頃に届けに行くね」


「…はぁ。
相変わらず馬鹿」




私の今の発言に
陽一は呆れた顔をする。


「つーかさ、
俺んちで作っといて。

どうせお前んとこもいつも
親帰ってくんの遅いんだろ?

ついでに一緒に食えばいいじゃん」



確かにうちの両親は帰りが遅くて
いつも夜ご飯は一人で作って食べてる。


でもでも
一緒に食べてもいいの??


陽一の提案にびっくりしていると
陽一は引き出しから取り出した鍵を私に手渡した。


「これ、お前にやるよ。
スペアキーってやつ。

いつでも勝手に入っていいから」



手のひらには私の自宅の鍵にそっくりな
陽一の部屋の鍵。



「…わかった!
美味しいの作って待ってるね!」



満面の笑みの私を見て
陽一も微笑んで私を抱きしめてくれた。